料理油のコーナーに足を踏み入れると、目の前には多種多様な油が広がっています。
例えば、ごま油やオリーブオイルはその独特の色と香りが特徴で、これらは料理の方法や個々の好みに応じて使い分けられることが多いですね。
一方で、サラダ油とキャノーラ油は外見が似ており、一見してそれぞれが何から作られているかはすぐには判別がつきません。
サラダ油とキャノーラ油の主な違いは、成分に「リノール酸が多い」か「オレイン酸が多いか」です。
サラダ油に含まれるリノール酸は加熱すると酸化しやすく、長時間の加熱にはオレイン酸が多いキャノーラ油の方が適しています。
この記事では、サラダ油とキャノーラ油の基本情報や成分の違い、適している料理などをご紹介します。
サラダ油とキャノーラ油の違い
わが家では普段、キャノーラ油を使っています。
サラダ油とキャノーラ油は、見た目や価格が似ているとはいえ、実際にはいくつかの違いがあります。
まず、サラダ油がどのように定義されているか、日本農林規格(JAS規格)で見てみましょう。
サラダ油とは、0度で5時間半保管しても濁らない、透明な植物油を指します。
これはつまり、冷やしても固まらない、濁らない油ということです。
※「サラダ油」という名前は、冷えても固まらない性質から来ており、サラダドレッシングやマヨネーズの材料に適していることが由来です
ただし、この定義だけでは、キャノーラ油との違いははっきりしません。
そこで、以下のような要素を比べてみて、それぞれの油の特徴を探っていきます。
・原材料
・主要な成分
・製造過程
・味の特徴
・カロリー
・価格範囲
実は、サラダ油とキャノーラ油との違いは、主に「原材料」と「主要な成分」にあります。
風味やカロリーなど、他の要素はほぼ同じなんです。
それでは、詳しく見ていきましょう。
原材料について
それぞれの油が、どんな原材料から作られているのかを見てみます。
サラダ油の原材料
JAS規格によると、サラダ油の原材料は「菜種、綿実、大豆、胡麻、紅花、ひまわり、トウモロコシ、米、ブドウ」などです。
この中の2種類以上を混ぜ合わせたものが「調合サラダ油」と呼ばれます。
キャノーラ油の原材料
キャノーラ油は、カナダで改良された菜種から作られています。
つまり、キャノーラ油は、基本的に菜種油と同じと考えて良いでしょう。
油の成分とその特性
原材料の違いにより、それぞれの油には独特の成分が含まれます。
油の成分に「リノール酸が多い」か「オレイン酸が多いか」の違いがあります。
サラダ油の主要成分
市販されるサラダ油は、大豆油を基本に、とうもろこし油や菜種油が混ぜられています。
大豆油には、人体が自分で生成できない必須の脂肪酸「リノール酸(オメガ6)」が豊富です。
このリノール酸は成長に欠かせない成分で、特に子どもの発育に重要です。
キャノーラ油の主要成分
キャノーラ油、つまり菜種油の主成分は「オレイン酸(オメガ9)」です。
このオレイン酸は悪玉コレステロールを減少させる効果があり、また熱に強く酸化しにくい特性があります。
油の製造方法
次に、サラダ油とキャノーラ油の製造方法について見ていきます。
どちらの油も、次のような工程で作られています。
- 原油の生産
- 精製
原油の生産
油脂を多く含む原材料は、圧搾法で搾油されます。
一方、油脂が少ない原材料では抽出法を用い、溶剤を使って油を抽出します(抽出に使った溶剤は後で取り除かれます)。
また、圧搾法で搾った後の残渣からさらに油を抽出する「圧抽法」という方法もあります。
精製
原油から、不純物を取り除くための工程です。
脱ガム、脱色、脱酸、脱ロウ、脱臭などのプロセスを経て、低温で固まらない、濁らない油が完成します。
冷蔵庫で保管しても固まらないようにするため、この精製過程は非常に重要です。
サラダ油とキャノーラ油の風味
サラダ油は、高度な精製を経ているため、味や香りが非常に穏やかで、食材の風味を損ねることがありません。
キャノーラ油も同様に、味や香りが控えめです。
そのため、どちらの油も様々な料理に使えて便利です。
油のカロリー比較
サラダ油とキャノーラ油は、カロリーが同じで、100グラムあたり約921キロカロリーです。
他の植物油、例えば大豆油、ごま油、米油、紅花油、オリーブ油も、同程度のカロリーです。
価格面での比較
一般的に、サラダ油もキャノーラ油も、1300グラム入りが約300円で売られています。
ただし、サラダ油は使用される原材料や作り方によって、価格が異なることがあります。
たとえば、国産の菜種を使ったサラダ油は、900グラムで1000円以上することもあります。
サラダ油とキャノーラ油の特徴まとめ
これまでの特徴をまとめてみましょう。
主な違いは、原材料による成分の違いです。
原材料
- サラダ油 – 菜種や綿実、大豆、ごま、紅花、ひまわり、トウモロコシ、米、ブドウなどから作られる
- キャノーラ油 – カナダで品種改良された菜種から作られる
主要成分
- サラダ油は、必須脂肪酸であるリノール酸が多く含まれている
- キャノーラ油は、悪玉コレステロールを減らす効果があるオレイン酸が多く含まれている
製造方法は、どちらも、圧搾法、抽出法、または圧抽法で製造されます。
風味は、どちらの油も味や香りにクセがありません。
カロリーは、両方とも100グラムあたり約921キロカロリーです。
価格は、1300グラムで約300円ほどですが、原材料や製造方法によって価格は異なることがあります。
サラダ油とキャノーラ油の料理別の適切な使用方法
サラダ油とキャノーラ油はどちらも使い勝手が良い油ですが、少し違いがあるため、料理に合わせて選ぶと良いでしょう。
サラダ油の特性と使い方の推奨
サラダ油は低温保存しても固まりにくく、マヨネーズやドレッシングなどの冷たい料理に最適です。
味や香りが控えめなので、揚げ物や炒め物にも使いやすいです。
ただし、サラダ油に含まれるリノール酸は加熱すると酸化しやすく、長時間の加熱には適していないことに注意が必要です。
酸化した油は、健康上のリスクがあると言われています。
キャノーラ油の特性と使い方の推奨
キャノーラ油は熱に強いオレイン酸が豊富で、特に揚げ物などの高温調理に適しています。
健康を気にする方にもおすすめです。
また、キャノーラ油はサラダ油としての基準も満たしているため、冷たい料理にも使えます。
お菓子作りでキャノーラ油をサラダ油の代わりに使ってもいいの?
お菓子を作る際にレシピに「サラダ油」とあっても、家にキャノーラ油しかない場合は心配いりません。
キャノーラ油は、サラダ油の代用として全く問題なく使用できます。
キャノーラ油は、味や香りが穏やかで、お菓子の風味を邪魔しません。
さらに、ほとんどのキャノーラ油は、日本農林規格(JAS)で定められたサラダ油の基準を満たしているので、お菓子作りに安心して使えます。
まとめ
サラダ油とキャノーラ油の違いを解説しました。
サラダ油は、菜種、綿実、大豆、ごま、紅花、ひまわり、トウモロコシ、米、ブドウなどから作られます。
キャノーラ油は、カナダで改良された特定の菜種を原料としています。
サラダ油の主成分はリノール酸で、キャノーラ油はオレイン酸が主要成分です。
製造過程や風味、カロリー、価格はほぼ同じです。
価格については、材料や製造方法によって高いものもあります。
サラダ油とキャノーラ油の主な違いは、成分に「リノール酸が多い」か「オレイン酸が多いか」です。
サラダ油に含まれるリノール酸は加熱すると酸化しやすく、長時間の加熱にはオレイン酸が多いキャノーラ油の方が適しています。
サラダ油とキャノーラ油のどちらを選ぶか迷うことがありましたが、個人的には、加熱しても酸化しにくいキャノーラ油が使いやすいと感じています。
レシピでサラダ油が指定されている時、他の油で代用しても問題ないのかと思うことは珍しくありません(お菓子作りのように正確なレシピを守ることが求められる場合は特に)。
お料理やお菓子作りにおいて、サラダ油の代わりにキャノーラ油を使用することは問題ないので安心してくださいね。